早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
どぎまぎする私をよそに、尚くんは何事もなかったかのごとく加々美さんに話しかける。
「なにか用事があるんだろ? うっかりなAkaruのことだから忘れ物か」
「悔しいけど当たりです」
加々美さんは苦笑を漏らしてオフィスに足を踏み入れ、ほぼ彼専用となっているデザイナーズルームに向かう。そして一分も経たないうちに、なにかの書類を手にして出てきた。
彼は、とりあえず帰り支度を整える私のそばにやってきて、感心したように言う。
「こんなに遅くまで頑張ってたんだね、野々宮さん」
「今日は特別です」
私も平然を装って笑みを返すと、加々美さんは「お疲れ様」と労ってくれた。次いで、空き缶を捨てていた尚くんのほうへ顔を向け、呆れた調子の声を投げる。
「社長、会社なんかじゃなくて、ちゃんと愛の巣があるんだからそっちでイチャついたらどうですか? 野々宮さんがかわいそうですよ」
……ん? 愛の巣?
彼の言葉にいくつかの引っかかりを覚え、私は目をぱちくりさせる。尚くんは相変わらず平静さを崩さない。
「あのくらいじゃイチャついたうちに入らねぇだろ」
「はぁ……ガサツな人は乙女心もわかってないな」
「なにか用事があるんだろ? うっかりなAkaruのことだから忘れ物か」
「悔しいけど当たりです」
加々美さんは苦笑を漏らしてオフィスに足を踏み入れ、ほぼ彼専用となっているデザイナーズルームに向かう。そして一分も経たないうちに、なにかの書類を手にして出てきた。
彼は、とりあえず帰り支度を整える私のそばにやってきて、感心したように言う。
「こんなに遅くまで頑張ってたんだね、野々宮さん」
「今日は特別です」
私も平然を装って笑みを返すと、加々美さんは「お疲れ様」と労ってくれた。次いで、空き缶を捨てていた尚くんのほうへ顔を向け、呆れた調子の声を投げる。
「社長、会社なんかじゃなくて、ちゃんと愛の巣があるんだからそっちでイチャついたらどうですか? 野々宮さんがかわいそうですよ」
……ん? 愛の巣?
彼の言葉にいくつかの引っかかりを覚え、私は目をぱちくりさせる。尚くんは相変わらず平静さを崩さない。
「あのくらいじゃイチャついたうちに入らねぇだろ」
「はぁ……ガサツな人は乙女心もわかってないな」