早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
夏本番の八月第一週の木曜日、私は親友と一緒に休み中の課題をやるため学校に来ていた。
長期休暇中、教室の設備が自由に使え、講師も常駐している教室開放の日が何日かある。私たちみたいに課題に取り組んだり、イベントに展示する作品を制作しに来たりする学生も多い。
ある程度課題を進めたあと、近くのカフェで飲み物をテイクアウトし、構内の食堂で休憩している。アメリカン・カントリーテイストのここは、学生たちのアイデアを募って作られたのだそう。
ただ今、中学の頃からの付き合いで、唯一事情を知っている瑠莉(るり)に、先日の話をしたところだ。
緩いウェーブがかかったロングヘアに、違和感のないつけまつげ、ぷるんとした紅い唇。服装はオフショルダーのトップスにスキニーパンツを合わせていて、今日も女度が高い。
同い年とは思えない色気を放つ彼女は、どこぞのモデルさんのように長い前髪を掻き上げ、ふぅと息を吐く。
「告白未遂か~。曖昧なふたりの関係が、やっとはっきりしたかと思ったのに」
瑠莉に心底残念そうに言われると、なぜか謝りたくなってくる。姉御タイプで積極的な彼女は、〝打てば響く〟がモットーだから。