早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
それでも、私の恋愛事情に関しては温かく見守る優しさも持っているので、今もポジティブな言葉をかけてくれる。


「まあ、杏華にしてみれば頑張ったほうなんじゃない? 今まで告白する気はさらさらなかったでしょ」


彼女の言う通り、尚くんのことが好きだと自覚してからというもの、それを伝えたらどうなるかということばかり気にして、行動を起こせずにいた。

あのときみたいに、想いが溢れる感覚を抱いたのは初めて。


「自分でも不思議だよ。後先考えずに告白しようとしたなんて」

「それだけ愛情が大きくなってるってことじゃないの」


ゆるりと口角を上げる瑠莉に、私は気恥ずかしくなりながらも「……うん」と小さく頷いた。

人をすごく好きになると、こんなふうになるんだな。

胸の奥がくすぐったくなっていると、瑠莉は綺麗なネイルが施された手でドリンクのカップを持ち、優しい声で言う。


「でも、杏華が悩むのもわからなくないかな。久礼さんの溺愛っぷりは昔からだから、恋愛感情とは違うんじゃないかって思っちゃうよね」

「そうそう。そうなんだよ」


私は共感しまくり、手の平でトントンと軽くテーブルを叩いた。
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