早熟夫婦〜本日、極甘社長の妻となりました〜
まだそうと決まったわけではないが、軽くショックを受けてうなだれた。そんな私に気づいたNIKKO先生が、キョトンとして首を傾げる。


「なんで野々宮ちゃんが落ち込んでるの?」

「あ、先生の例えがわかりやすすぎて感動してるんです」


咄嗟に出た瑠莉のテキトーな言い訳に、とりあえずうんうんと頷いておいた。

先生は「あら、ありがとう」と言い、私たちにさっぱりとした笑みを向ける。


「まあ人間は千差万別で、恋愛も百人いたら百通りの答えがあるから。そのお友達の彼も、必ずどっちかに当てはまるとは言えないわよ」


私も瑠莉も、真剣に耳を傾ける。先生の言う通り、ここでいくら話し合っても、本人の胸の内は推測することしかできない。


「でも、そこに正解不正解はないの。大事なのは、相手の答えを知ったとして、そのあとに自分がどうするかだと思うわ。泣くも笑うも、結局は自分次第なのよね」


相手の答えを知って自分がどうするか、か……。

私は今まで、尚くんの気持ちが知りたくて悩んでいたけれど、重要なのはその先のことなんだ。どう転がったとしても、その運命を受け入れて生きていくしなやかさを持たなければ。

大人になりたいのなら、中身も強くならないといけない。
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