CANDY
「飴、食べます?」

 
半分夢の中に浸っていた俺は、その言葉にバチッと目を開ける。
 
目の前に制服を着た少女が立っていた。俺は何も言わず、彼女を見る。茶色の長い髪を二つに結んで、飲食店でも清潔感を保っている。

「寝惚けてる?」
 
何も言わない俺に近付き、彼女は笑った。

「大丈夫」
 
俺はそう言いながら、彼女の持つ飴の袋を見る。

昨日はみかん、今日はラムネ味のようだ。

「飴、また買ったんだね」
 
俺は何気なくそう呟いた。彼女はこくん、と首を縦に小さく振る。
< 13 / 21 >

この作品をシェア

pagetop