CANDY
頭の中で警鐘が、がぁんと大きな音を立てた。気がした。

「うん、ありがとう」
 
俺は言葉を返す。

彼女が安心したように少し微笑んだ。

やはり、俺にくれる為に彼女は飴を買っているのだ。

「ただ」
 
彼女が袋から飴を出そうとした時、俺の口はまた動いた。ただ。

「今日は、こっちの飴を」
 
何の冗談だ!
 
頭の冷静な部分で俺はそう叫んだが、躰は凶悪なものに支配されていた。
 
俺の右手は彼女の胸に伸び、白いブラウスの上からその先端に触れ、そこをさながら飴のようにしゃぶろうと、腰を浮かせ頭を近づける。
< 15 / 21 >

この作品をシェア

pagetop