CANDY
あと何ヶ月で辞めるらしいよ、という噂。

期間は皆、バラバラだった。

適当なことを言いやがって。
 
俺は自分にたっている噂を、指に挟んだ煙草のように揉み消すことも出来ないまま、キャンディを睨み付けた。
 
そういえば、この飴をくれた子からは、俺の悪口を聞かない。
 
悪口とは、誹謗中傷それだけでは無い。冗談半分に発せられた軽い一言でさえも、俺にとっては悪口となりえてしまうこともあるのだ。

今日は、オレンジ色のそれ。
 
店に売られている飴を毎日のように購入し、同じバイト生や俺のような社員、店長に配り続けている彼女。味は様々で、それを楽しみにする男子は、今日は何味、と訊いたりもしている。
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