愛じゃなくても恋じゃなくても（仮）2

「いらっしゃいませー！あっ！美月と奥野！いらっしゃい！待ってたよ！タケピー店長、2人来ましたよー。」
汗をかきながら優斗君が出迎えてくれた竹原屋は、こじんまりとはしているけど、豚骨醤油の匂いがして、お客様もちらほらといて賑わっているようです。
すると。
「わーい！いらっしゃいませ！初めまして清華さん！パパからお話聞いてます！今日はたっぷり食べてくださいね！」
水をいそいそと運んできてくれた女の子。これが竹原さんの娘さん、春華ちゃんですわね。
9歳なのに働いてしっかりしてて！
かわいいですわー！
わたくしは春華ちゃんにメロメロになってしまいました。

しばらくして、奥から竹原さんがラーメンを持って現れました。
タオルで頭をしばって、なんだか、かっこ、、、いえ、なんでもありませんわ！
「清華ちゃん、美月ちゃん、今日はありがとうな！ピストルラーメン二丁！お待たせいたしましたー！」
そして。恐る恐る食べた久しぶりのラーメンは。。。
こってり最高！！！でしたわ。
わたくしも美月も黙ってズルズルと一心不乱にラーメンを食べていました。
「お、おい、奥野、感想とか。。。」
「清華さん、どうですか？」
優斗君と春華ちゃんが心配そうに声をかけてきたので、ラーメンから顔をあげると、竹原さんが奥から心配そうにわたくしを見ていました。
「あら、ごめんなさい。あまりにおいしくて。。。こってりしていて、素敵なお味ですわ。感想も言わず、夢中になっていましたわ。」
竹原さんも春華ちゃんも優斗くんもすごく嬉しそうに笑って、わたくしはまた一口スープを飲みました。
わたくしが小さな頃は、父の会社も小さくて家も普通で、ラーメン屋などにも行っていたのですが。。。
子どもの頃を思い出すような。
少し切なくなりましたわ。

とにかく美味しかったですわ。

わたくしたちは、事務所兼休憩室にお邪魔させていただき、春華ちゃんと遊ぶことにしました。