1億のキス 【LOVE♡ドロップス企画参加作品】
手に入らないもの程、欲しくなる。
人のモノだと解ると更に執着が湧く。
子供みたいな感情が生まれてくるのがわかった。
はじめは気になった程度。
顔を見て、かわいいと思い、
声を聞いて、心地いいと感じ、
寂しさが見えて、触れたくなった。
「……ごめん。」
枢の謝罪に百合は強がった笑顔で首を振った。
「どうしてあなたは……
……楽になろう?
俺が傍にいるから……。」
百合をもっと知りたいと思った。
まだ知らない笑顔が見たいと思った。
枢が迷いを隠せないでいる百合の腕を引っ張り優しく包み込むように抱きしめる。
動けないでいる百合の耳元でそっと囁いた卑怯な一言。
「……俺は彼の次でいいから。」