1億のキス 【LOVE♡ドロップス企画参加作品】
少し不機嫌な様子を浮かべて、枢はバーテンのバイトへと向かった。
まだ開店前のガランとした店内、机の上に後向きに置かれた椅子を下ろして開店準備をする。
バーに通う半分以上が枢目当てのお客様。
半分、ホストにでもなってるような気分になる。
プライベートのないホストには、到底興味はないけどな。
「いらっしゃいませ。」
「枢、いつもの!」
「はい。」
常連のお客様のカクテルは一人一人味が違う。
お店での長い付き合いがないと、その人の求めるお酒は作れない。
適当な事はしない。
特別扱いをするならみんなに。
そこも枢のモテる理由のひとつだ。