キミの声を聞かせて
「楽しかった〜!って雨じゃん!」
ライブが終わり外に出ると大粒の雨が降っていた。
「これ電車止まってない?」
佳奈の言葉を聞き携帯で調べると今は止まっていないようだった。
「今は大丈夫みたい」
「家まで帰れる?なんならおばあちゃん家一緒に泊まる?」
「まぁなんとか帰れるだろうし大丈夫。ありがとう」
「うん...。気をつけて帰ってね」
「うん!じゃあまた」
そして私たちは手を振り別れた。
しかし電車が止まるのも時間の問題かと思われた。私は急いで家に向かった。
そして電車で揺られること1時間半。次の乗り換えの電車で3駅乗れば帰れるという場所まで来ていた。
「え、嘘...」
そこに待ち受けていたのは電車運行停止のお知らせ。
「あと少しだったのに...」
時刻は22時。天候も悪い上この時間。歩いて帰るのは考えたくなかった。しかしタクシーに乗ったり、近くのホテルに泊まるお金もない。父は泊まりのため迎えには呼べない。
「どうしよっかなぁ...」
誰かに連絡を取ろうと探していた結果目に入ったのは先生のアカウント。

『何でも良いから送ってよ』

先生の声が聞こえてくる。
「...怒られるかなぁ...」
そう言いながら私の手はライン電話のボタンを押していた。

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