キミの声を聞かせて
体育館横の風が気持ちよく吹く場所。そこに私は呼び出されていた。
「あの...。ずっと前から気になってて...。良かったら付き合ってくれないかな」
話したこともない別のクラスの男の子。名前は確か風磨くんだっけ...。そんな名前さえあやふやな人に告白してもらっても付き合おうとは思わなかった。
「あの...。ごめんなさい。お話ししたこともないのに付き合うとか考えられなくて...」
「そっか...。じゃあこれから少しずつでも話してもらえると嬉しいかな」
「...うん」
「ありがとう。それじゃ」
そう言って風磨くんは歩いていった。
「はぁ〜」
告白なんてされたことなかったからドキドキした。彼氏がいらないわけではないがてきとうに誰かと付き合う気はない。今回は断って良かったと思う。ドキドキする胸を抑え、教室に戻ろうとしたその時だった。
「へーモテるんだ」
奥から聞こえてきた声。その方を覗き込むと体育館の壁に背をつけて立っている私のクラスの担任、久雅悠斗先生がいた。
「盗み聞きですか?」
「俺が此処にいたら勝手にお前らが来たんだよ」
「へぇ〜」
嘘ではないだろう。しかし先生に告白された所を聞かれたことに恥ずかしさが込み上げてきた。
「よく告白されんの?」
「これが初めてですよ」
「そうなんだ」
それ以上聞くことはないのか、先生は空を見上げる。
「先生は何してたんですか?」
「サボり」
「え?」
「職員室いると他の先生の目が痛いからな。何もせずポケーっとするにはここが一番」
久雅先生は教えるのは上手いがてきとうな所もあった。宿題を忘れた生徒がいても良いよと言って簡単に許す。そんな所が生徒からの人気を集めていた。
「それじゃあ私戻るんで」
「遠野」
「はい?」
「...午後の授業寝るなよ」
「寝ませんよ」
「真面目だな」
先生はふふっと笑う。私は先生に背を向け歩き出した。
担任の先生といえどそこまで話したことはなかった。授業中や面談など話さなければならない時以外でこんな風に他愛ない話をしたのは初めてだった。この時はまだ話しやすい先生という印象でしかなかった。
「あの...。ずっと前から気になってて...。良かったら付き合ってくれないかな」
話したこともない別のクラスの男の子。名前は確か風磨くんだっけ...。そんな名前さえあやふやな人に告白してもらっても付き合おうとは思わなかった。
「あの...。ごめんなさい。お話ししたこともないのに付き合うとか考えられなくて...」
「そっか...。じゃあこれから少しずつでも話してもらえると嬉しいかな」
「...うん」
「ありがとう。それじゃ」
そう言って風磨くんは歩いていった。
「はぁ〜」
告白なんてされたことなかったからドキドキした。彼氏がいらないわけではないがてきとうに誰かと付き合う気はない。今回は断って良かったと思う。ドキドキする胸を抑え、教室に戻ろうとしたその時だった。
「へーモテるんだ」
奥から聞こえてきた声。その方を覗き込むと体育館の壁に背をつけて立っている私のクラスの担任、久雅悠斗先生がいた。
「盗み聞きですか?」
「俺が此処にいたら勝手にお前らが来たんだよ」
「へぇ〜」
嘘ではないだろう。しかし先生に告白された所を聞かれたことに恥ずかしさが込み上げてきた。
「よく告白されんの?」
「これが初めてですよ」
「そうなんだ」
それ以上聞くことはないのか、先生は空を見上げる。
「先生は何してたんですか?」
「サボり」
「え?」
「職員室いると他の先生の目が痛いからな。何もせずポケーっとするにはここが一番」
久雅先生は教えるのは上手いがてきとうな所もあった。宿題を忘れた生徒がいても良いよと言って簡単に許す。そんな所が生徒からの人気を集めていた。
「それじゃあ私戻るんで」
「遠野」
「はい?」
「...午後の授業寝るなよ」
「寝ませんよ」
「真面目だな」
先生はふふっと笑う。私は先生に背を向け歩き出した。
担任の先生といえどそこまで話したことはなかった。授業中や面談など話さなければならない時以外でこんな風に他愛ない話をしたのは初めてだった。この時はまだ話しやすい先生という印象でしかなかった。