キミの声を聞かせて
次の日は自由行動となるためグループで移動する。私と佳奈と友達の梨沙、風磨くんと彼の友達の結城くんと渓くんで6人グループとなった。
私たちはまず美ら海水族館へ行った。
「マンタおっきい〜」
「ホントだね...」
「あ!サメもいる」
たくさん種類がいる魚たちに目が奪われた。小さく可愛い生物から大きく迫力のある生物。泳いでる姿はいつまでも見ていられる程綺麗だった。
「結衣〜。行くよ〜」
魚たちに目を奪われていると先に進んでいる佳奈と梨沙に気づかなかった。
「あ、待っ...」
二人を追いかけようとした時手を掴まれた。
「え?」
「ごめん」
手を引いてきたのは風磨くん。私はそのまま二人と離された。
「風磨くん?」
「二人で...いたくて...。ダメ...?」
「でも...佳奈たちが...」
言おうとした時に来たライン。
『私たち結城くんたちと行動するから結衣は風磨くんと楽しんできなよ!♡』
「これは...」
「俺と一緒に過ごしてくれない?」
無理に拒否する理由はない。ここで断って風磨くんを落ち込ませることも気が引けた。
「うん。良いよ」
「やった!ありがとう」
素直に喜んでくれる彼。風磨くんのことを好きになったらきっとこんなに悩むこともないだろう。そう思うのに彼を想えない自分がいた。
私たちは水族館回りを再開した。
「水族館って行ったことある?」
「それがないんだよね。だから今日ここに来られたのがスゴく嬉しいんだ」
「そうなんだ」
「風磨くんは?」
「俺は幼稚園の時に近場のだけど家族と行ったことあるよ」
「家族旅行か...。いいね」
家族と一緒に色んなところへ行った幼い頃のことを思い出す。
「遠野さん?」
「...ううん。なんでもない」
「...うん」
この雰囲気を下げるようなことを言う必要はない。私は頭の中にあったことを考えるのをやめた。

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