キミの声を聞かせて
集合場所であるホテル前に行くと佳奈たちがいた。その中には風磨くんも...。
「結衣どこ行ってたの?風磨くんと一緒にいないからビックリしたよ」
「うん...ごめん...。ちょっと...」
私は風磨くんに近づく。
「本当に...ごめんなさい...」
怒られても仕方ないと思っていた。そんな私に風磨くんは笑って言った。
「負けねぇって言ったのになぁ...」
天を仰ぎ見る風磨くん。
「そんなにあいつカッコいい?」
先生と会っていたことはもう分かっているらしい。私は風磨くんの目線の先にいた先生を見る。先生はダルそうに欠伸しながら立っている。
「...うん。すごく」
最近見せることがなかった最高の笑顔。その笑顔を先生を想うと見せることができていた。
「本当はあんなやつ大っ嫌いになりたいのに遠野さんの笑顔見てると毒気抜かれちゃうよ」
「風磨くん...」
「でも認めたわけでも諦めたわけでもないからね」
「うん...」
「ホテル入るみたいだよ。行こっか」
「...うん」
そして私たちは並んでホテルへと入っていく。
その時首元につけている先生からもらったネックレスが揺れた。
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