キミの声を聞かせて
受験当日。会場に入ると真剣な空気が漂っており緊張した。そんな時目を閉じて昨日先生が言ってくれた応援の言葉を思い出す。
「私なら大丈夫...」
そう小さく唱え、試験を受ける。
先生の言葉が私の力を存分に出させていた。
そして2週間後の合格発表。大学前で合格発表者の番号が貼り出されるのを待つ。私の番号は「15732」。
そして12時となり紙が張り出された。
「15657...15684...15698...15721...あっ」
そこに見えたのは私の番号「15732」。
「受かった...」
ずっと行きたかった大学。私はそこに通えることが本当に嬉しかった。まずは父にラインで報告した。するとすぐに返信はきた。
『おめでとう!本当に良かった。今日は美味しいもの食べに行こうな』
「...うん!」
父も喜んでくれている。そして私の目に止まったのは先生のライン。
「...先生にも報告しないとね」
私は久しぶりに先生のトーク画面を開く。
「先生、K大合格しました!」
それだけ書き送る。先生の返信も早かった。
『おめでとう。遠野なら大丈夫だって思ってたよ。大学生も思いっきり楽しめよ』
ずっと行きたかった大学の合格。それはすごく嬉しいことだ。しかし大学に合格したということは高校生活が終わりを告げるということ。そうなればもう先生と会える毎日もなくなるということだった。
「...さよなら...か...」
先生とお別れしなければならない日が近づいていることを思い知らされるのだった...。
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