キミの声を聞かせて
「整頓されてるじゃないですか」
資料室につき、棚に並べられているファイルを見ると全て順番通りになっていた。
「うん」
悪びれもなく、笑顔で答える先生。
「先生〜?」
「遠野と2人で話すには良い口実だと思ったからね」
「今までのは?」
「わざとグチャグチャにしたんだ。遠野と話す機会を作るためなら何でもしてたんだ」
「そうだったんですね...」
「それで?話したいことがあったんだろ?」
先生に想いを伝えよう。ここで言わなきゃもう二度と言えない。そう思って勇気を出して言おうとするのに最初の一言が出てこなかった。
「ク、クラスの女の子あんな風に置いてきちゃって大丈夫でしたか?」
「良いんだよ。今日は高校からも先生の俺からも卒業する日だからな。長い人生の中で高校の3年間しか関わらない俺との別れなんてあれくらいあっさりしてた方が良いんだ」
淋しい言葉だと思った。大切な学生生活で大きな存在である先生。そんな存在をずっと心に残して生きる人もいるのに、先生はそれを考えていないようだった。
「皆の心には先生が居続けると思いますよ」
「...そうだといいな」
淋しそうな顔のまま先生は外を眺める。
「私の心にも先生は居続けます」
「...それなら嬉しいよ。ありがとう」
「...それに私は今日で先生から卒業したくありません」
先生は興味ありげに私の方を見る。
「...私にとって先生はずっと傍にいて欲しい人なんです」
「...遠野は俺のことが好き?」
直球な質問。いつもならここで誤魔化していた。しかしそれではダメだ。今ちゃんと伝えるんだ。
「私は先生のことが好きです。大好きです」
告白をするや否や先生は私を抱きしめた。
「先生...!」
「もっと余裕のある大人になれたら良かったな...」
「え?」
「本当はずっと期待してた。遠野が俺を好きになってくれるんじゃないかって...。ダメだと思いつつも俺は告白した。区切りをつけるって言っておきながらずっと諦められなかったんだ...」
強く、強く抱きしめてくれる先生。その強さが先生の想いの強さと重なっていると思った。
「私の気持ち受け止めてくれますか?」
先生は私を離し、瞳を合わせて言った。
「あぁ。俺も好きだよ」
私は涙を流しながら笑った。先生の前で流した最初の涙は悲しい涙だった。しかし今流した涙は幸せの涙だった。
「私は高校を卒業しました。もう先生と生徒という関係じゃないですからね」
「そうだな。俺の彼女になってくれますか?」
「...はい」
私たち以外誰もいない資料室。窓から差し込む光だけが私たちを照らしていた。
資料室につき、棚に並べられているファイルを見ると全て順番通りになっていた。
「うん」
悪びれもなく、笑顔で答える先生。
「先生〜?」
「遠野と2人で話すには良い口実だと思ったからね」
「今までのは?」
「わざとグチャグチャにしたんだ。遠野と話す機会を作るためなら何でもしてたんだ」
「そうだったんですね...」
「それで?話したいことがあったんだろ?」
先生に想いを伝えよう。ここで言わなきゃもう二度と言えない。そう思って勇気を出して言おうとするのに最初の一言が出てこなかった。
「ク、クラスの女の子あんな風に置いてきちゃって大丈夫でしたか?」
「良いんだよ。今日は高校からも先生の俺からも卒業する日だからな。長い人生の中で高校の3年間しか関わらない俺との別れなんてあれくらいあっさりしてた方が良いんだ」
淋しい言葉だと思った。大切な学生生活で大きな存在である先生。そんな存在をずっと心に残して生きる人もいるのに、先生はそれを考えていないようだった。
「皆の心には先生が居続けると思いますよ」
「...そうだといいな」
淋しそうな顔のまま先生は外を眺める。
「私の心にも先生は居続けます」
「...それなら嬉しいよ。ありがとう」
「...それに私は今日で先生から卒業したくありません」
先生は興味ありげに私の方を見る。
「...私にとって先生はずっと傍にいて欲しい人なんです」
「...遠野は俺のことが好き?」
直球な質問。いつもならここで誤魔化していた。しかしそれではダメだ。今ちゃんと伝えるんだ。
「私は先生のことが好きです。大好きです」
告白をするや否や先生は私を抱きしめた。
「先生...!」
「もっと余裕のある大人になれたら良かったな...」
「え?」
「本当はずっと期待してた。遠野が俺を好きになってくれるんじゃないかって...。ダメだと思いつつも俺は告白した。区切りをつけるって言っておきながらずっと諦められなかったんだ...」
強く、強く抱きしめてくれる先生。その強さが先生の想いの強さと重なっていると思った。
「私の気持ち受け止めてくれますか?」
先生は私を離し、瞳を合わせて言った。
「あぁ。俺も好きだよ」
私は涙を流しながら笑った。先生の前で流した最初の涙は悲しい涙だった。しかし今流した涙は幸せの涙だった。
「私は高校を卒業しました。もう先生と生徒という関係じゃないですからね」
「そうだな。俺の彼女になってくれますか?」
「...はい」
私たち以外誰もいない資料室。窓から差し込む光だけが私たちを照らしていた。