キミの声を聞かせて
「遠野。手伝って」
その日の放課後また久雅先生は私に雑用を頼んできた。
「結衣。呼ばれてるよ?」
「...佳奈代わりにやってくれない?」
「私だって代わりたいけど今日は部活あるんだよ。ごめん」
そう言って佳奈は足早に教室から出て行ってしまった。
「遠〜野」
「はぁ。分かりました」
何だかんだ断れない私はこの人に弱いんだと思う。そしてまたきたのは資料室。
「またバラバラになっちゃったから整頓して」
てへっとでも言いそうな顔で言う。
「なんで1週間でまたバラバラになるんですか!」
「ここらのファイル見直すことが多くて...。それでまたてきとうに片してたらこんなんになった」
悪びれもなく言うその姿が頭に来たが仕方ない。何を言ってもこの人はてきとうに入れることを改めないのだろうと思った。そして私は整頓、先生は携帯をいじっている。
「お前さ、俺のこと避けてる?」
以前とは意識の仕方が変わったが、故意に近づかないようにしているわけではなかった。
「そんなことないですよ」
「ふーん。でも最近話せてなかったじゃん」
「たまたまですよ」
机の上のファイルを取るときも先生の顔は見ないようにした。そうしなければ顔が赤くなってしまいそうだったから。
「俺が言ったこと忘れてないよね?」
忘れたいと思っていたけど忘れられなかった。それほど私の心に残った先生の告白。
「まぁ...うん...」
「遠野」
先生の気配を私の背後に感じる。こんなに近づいたのはあの日以来。私の手は止まってしまった。
「あのさ...」
「...な...んですか?」
先生が息を吸う音が聞こえる。早く離れて...。
「ライン交換しない?」
「へ?」
私の前に出されたのは先生のラインのアカウント。
「ダメ?」
「いや、良いですけど...」
持っていたファイルを棚に入れ、私は携帯を出した。
「よし、これでオッケー」
そして私のラインの友達に先生が加わった。
「アイコン飼ってる犬?」
「はい。ポポちゃんです」
今年で3歳になる犬のポポ。とても可愛い姿で自分のアイコンにしていた。
「犬好きなんだ」
「はい好きです」
その時ラインの通知が来た。見てみると先生がヨロシクという犬のスタンプを送っていた。
「ここに居るんですからラインしなくていいですよ」
「良いじゃん。遠野も何でも良いから送ってよ」
「...気が向いたらね」
「えー」
先生が不満そうな顔をする中、私はファイル整理に戻った。
「...先生はどうしてあんなこと言ったんですか?」
「あんなことって?」
「その...俺の女に...ならないかって...」
自分で言うと恥ずかしさが込み上げてくる。
「...好きだからだよ」
「またそんな軽く言う」
「本当のことだから」
本当のことを言う時は先生は絶対に携帯をいじったりなどしなかった。それが本気なのではないかと思わされる。
「...なんで私を好きになったんですか?」
「...可愛かったからかな」
「...嘘つき」
「えー?信じてくれないんだ〜」
「もう先生なんて知りません。終わったので帰ります」
「はい、お疲れ〜」
私はさっさと資料室を出る。可愛かったからと言った時先生は携帯をいじっていた。ということは本当の言葉ではなかったということだ。
「なんなのよ」
真剣に話してくれるかと思ったらすぐ誤魔化す。先生が何をしたいのか私には分からなかった。
その日の放課後また久雅先生は私に雑用を頼んできた。
「結衣。呼ばれてるよ?」
「...佳奈代わりにやってくれない?」
「私だって代わりたいけど今日は部活あるんだよ。ごめん」
そう言って佳奈は足早に教室から出て行ってしまった。
「遠〜野」
「はぁ。分かりました」
何だかんだ断れない私はこの人に弱いんだと思う。そしてまたきたのは資料室。
「またバラバラになっちゃったから整頓して」
てへっとでも言いそうな顔で言う。
「なんで1週間でまたバラバラになるんですか!」
「ここらのファイル見直すことが多くて...。それでまたてきとうに片してたらこんなんになった」
悪びれもなく言うその姿が頭に来たが仕方ない。何を言ってもこの人はてきとうに入れることを改めないのだろうと思った。そして私は整頓、先生は携帯をいじっている。
「お前さ、俺のこと避けてる?」
以前とは意識の仕方が変わったが、故意に近づかないようにしているわけではなかった。
「そんなことないですよ」
「ふーん。でも最近話せてなかったじゃん」
「たまたまですよ」
机の上のファイルを取るときも先生の顔は見ないようにした。そうしなければ顔が赤くなってしまいそうだったから。
「俺が言ったこと忘れてないよね?」
忘れたいと思っていたけど忘れられなかった。それほど私の心に残った先生の告白。
「まぁ...うん...」
「遠野」
先生の気配を私の背後に感じる。こんなに近づいたのはあの日以来。私の手は止まってしまった。
「あのさ...」
「...な...んですか?」
先生が息を吸う音が聞こえる。早く離れて...。
「ライン交換しない?」
「へ?」
私の前に出されたのは先生のラインのアカウント。
「ダメ?」
「いや、良いですけど...」
持っていたファイルを棚に入れ、私は携帯を出した。
「よし、これでオッケー」
そして私のラインの友達に先生が加わった。
「アイコン飼ってる犬?」
「はい。ポポちゃんです」
今年で3歳になる犬のポポ。とても可愛い姿で自分のアイコンにしていた。
「犬好きなんだ」
「はい好きです」
その時ラインの通知が来た。見てみると先生がヨロシクという犬のスタンプを送っていた。
「ここに居るんですからラインしなくていいですよ」
「良いじゃん。遠野も何でも良いから送ってよ」
「...気が向いたらね」
「えー」
先生が不満そうな顔をする中、私はファイル整理に戻った。
「...先生はどうしてあんなこと言ったんですか?」
「あんなことって?」
「その...俺の女に...ならないかって...」
自分で言うと恥ずかしさが込み上げてくる。
「...好きだからだよ」
「またそんな軽く言う」
「本当のことだから」
本当のことを言う時は先生は絶対に携帯をいじったりなどしなかった。それが本気なのではないかと思わされる。
「...なんで私を好きになったんですか?」
「...可愛かったからかな」
「...嘘つき」
「えー?信じてくれないんだ〜」
「もう先生なんて知りません。終わったので帰ります」
「はい、お疲れ〜」
私はさっさと資料室を出る。可愛かったからと言った時先生は携帯をいじっていた。ということは本当の言葉ではなかったということだ。
「なんなのよ」
真剣に話してくれるかと思ったらすぐ誤魔化す。先生が何をしたいのか私には分からなかった。