熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
「そしてもうひとつ、俺はしつこい男だ。きちんと話をするまでは、詩織がどこへ逃げようと追いかける。だから頼む、出てきてくれないか?」
彼の優し気な声に誘われるようにして、涙がぽろぽろ頬を伝って落ちていく。
私……勝手なことばかりしてきたのに、どうして追いかけてくるの?
最初はキライだったはずのあなたと、あっけなく恋に落ちて。
甘い言葉に酔わされて、本能の赴くまま体を繋げて。
結婚を申し込まれた途端、臆病になって突き放して。
望んでひとりになったはずが、自分に訪れた体の変化を受け入れられなくて。
あなたに再び会う決心をしたかと思えば、また逃げ出して……こんな勝手な私を、どうしてそんなに……。
切なさに胸が締め付けられ、床にうずくまってぎゅっと自分の体を抱いていたそのとき。
「好きだ」
ドア越しに、凛とした彼の声が響いた。
その言葉はまっすぐ私の胸の中心へと刺さって、彼への愛しさをあふれさせる。