熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
「私ね……妊娠、しているの……」
震える涙声で、告白する。梗一の目が見開かれ、私をまっすぐに見つめ返した。
とてつもない緊張で、全身が心臓になったようにどくどくと脈打つ。
ねえ梗一。今、なにを思っている? そんなはずじゃなかったと、後悔してる?
もしもあなたに拒絶されたら、私、どうやって生きていけばいいのか……。
最悪の展開ばかりが頭をよぎって、不安に負けそうになる。
それでもじっと彼の反応を待っていたら、梗一はしばらく沈黙したのち、まじめな顔で尋ねてきた。
「俺と詩織の子……ってことだよな?」
「……そうよ」
私が頷いて肯定すると、彼はしみじみと目元を緩めて、幸福そうに息をついた。
「驚いたが……うれしいよ。詩織と愛し合うことを、神が認めてくれたみたいだ」
大袈裟なセリフで喜びを表現する彼の様子に、私の胸にもようやく安堵が広がった。
そうよ……梗一は、そういう人だったじゃない。
自分の子を身籠った私を突き放すなんて、するはずがない。
彼は、いつも一途に愛を注いでくれる、私の王子様なんだから――。
安心して気が緩み、思わず滲んだうれし涙で目尻を濡らしていると、今度は梗一の方が心配そうな顔をして言う。
「今、子どもはどれくらいなんだ? 体調は? 飛行機なんか乗って平気だったのか?」
矢継ぎ早に質問してくる彼がなんだか可愛らしくて、私は泣き笑いを浮かべる。