熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
しかし、別れたときにはすでにお腹の中に先生がいて、南雲家の長男として育てることになった。先生はそのことを、幼いころから知っていたのだそう。
「どうも俺は実の父の血を濃く引いているみたいでさ。子どもの頃から暇さえあれば絵を描いている俺に、母も本当のことを隠しておけなかったらしい。そのうち梗一が生まれて、南雲家は梗一に継がせようって、暗黙の了解みたいに決まってた。俺もその方が気が楽で助かったけどね」
「そういうことだったのか。俺は、兄さんにただ責任感がないのだとばかり……」
今までの自分の考えを後悔するように、梗一がうつむく。
「ま、そう思わせるような行動を取ってたのは俺だしね。こっちもなんとなくお前には劣等感みたいなのがあって、ついつい意地悪を働いてはお前の反応見て楽しんでたし、おあいこ」
冗談めかして笑う先生に、梗一も苦笑する。
今までなんとなく二人が相容れなかった理由がわかり、場のムードが和やかになったところで、姉が静かに話し出す。