熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~

三日ほどの入院で回復した俺は、その後も無理をしないペースで仕事に復帰した。そして数日後、俺は仕事でバレンタインムード一色の繁華街の一角を訪れた。

そこには建築中のビルがあり、フランスを拠点とする人気ファッションブランドが近々日本で初めての店舗をオープンさせる予定だ。

その一切の広告活動をうちの社が任されたのだが、とても大事なクライアントのため、副社長である俺が自ら打ち合わせに出向いている。

その日の打ち合わせでは、まだ未完成のビルの一室を使って、担当者からブランドのコンセプト、実際に日本で売り出したい商品などを詳細にヒアリングした。

担当者はサーラというフランス人女性だが、流ちょうに日本語を操るので打ち合わせはスムーズだった。

俺も英語ならば得意だが、フランス語となると自信がない。なので通訳を用意しようかと提案したところ、彼女は日本語に堪能なのでその必要はないと言われたのだ。

「では、今日はここまでで……。お時間ありがとうございました」

そして無事に打ち合わせが終了し、俺は手短に挨拶をして椅子から腰を上げたのだが。



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