熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~

「でも、ある時期からモデルの仕事で行き詰まるようになって、彼女の人格が変わっていきました。酒を飲んで俺に当たり散らしたかと思えば突然泣き出したり、浮気をして、それを平然と俺に告げてきたり……。挙句の果てに、こう言い出したんです。〝そうだ。梗一と結婚すれば、きっと世間はまた私に注目してくれる〟――と」

「優良はそこまで追い詰められていたのか……」

しかし、彼女の取った行動を思い返せば、その精神状態が普通でなかったことは想像に難くない。

もう少し早くそれに気づいていれば、友人として何か力になれたかもしれないが……。

俺がそんなことを思っていると、三島が自嘲気味にこう続ける。

「俺は、優良が幸せになれるなら彼女が副社長と結婚する道もアリだと思いました。……でも、副社長には休暇を取ってまで会いたい女性がいると知って……なんだか優良がかわいそうになったんです。そして、その頃ちょうど副社長のお兄さんが現れて〝梗一への意地悪に協力してくれない?〟なんて持ち掛けられたので、つい、腹いせのつもりで副社長を休暇から呼び戻す電話を……」

「……なるほど。そうだったのか」



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