熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
私は目を細め、彼をまじまじと見つめながら記憶をたどる。
高校時代とはいえ、ここまで目を引く容姿を持った男性に会っていたなら、覚えていそうなものだけど……思い当たるような人物は全く浮かばない。
「ああ。と言っても、詩織は俺のことなんか眼中になかったから覚えていないだろうし、俺の一方的な片思いだ」
「片思いって……」
冗談だと思って私は薄く笑うけれど、南雲は真剣な調子を崩さずにこう告げた。
「仕事で会いに来たというのは嘘だよ。本気できみを手に入れたくて、十日間のバカンスを取ったんだ。その間に必ずきみを落としてみせる。俺が、恋愛を教えてやる」
思いもよらない宣告に、私は困惑してしまう。
私に恋愛を教える……? しかも、そのために十日間のバカンスを取ったなんて……彼は何を考えているの?
南雲は呆然とする私の手を引いて、人目につかない場所へと移動すると、ホテルの外壁に私の背中を押し付けた。
突然の強引な行動に、否応なく胸がドキンと鳴る。
そして妖艶に目を細めた彼は、吐息交じりに囁いた。