熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~

「ねえ梗一、怒らないで聞いてほしいんだけど……今私、サムットとルームシェアをしているの」

「ルームシェア? ということは、俺以外の男とひとつ屋根の下で……!?」

怒らないでと言ったのに、途端に目つきを鋭く豹変させた梗一に、両手でガシッと肩を掴まれる。

まぁ、なんとなくこうなる気もしていたけど……当然、梗一が心配するようなことはなにもない。

「サムットがね、夢をかなえるため家族や友達から多少の援助をしてもらったけど、できるだけ節約したいと言ってて……私も、梗一にもう一度会うと心に決めたとはいえ、シングルマザーになる可能性もあったから節約したかったし、何かあった時に男手があるのは安心だったの。それとね、今私、サムットに絵を教えているのよ」

「絵を……?」

梗一は、未だ険しい顔をしたままで、私を問い詰める。

「そう。彼、とてもセンスはあるんだけど、技術的なことを一度も教わっていないから、パースがずれていたり粗削りな部分がいくつもあってね。でも私の指導の甲斐あって、最近グンと上達したわ。今は、近々ある新人限定の展覧会に出す絵を必死で仕上げてる」



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