熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
半年ぶりの再会だ。きっと必死で堪えているのだろう。
我慢している梗一の姿は逆にとても色っぽく、私にも自然と、彼の肌に触れたいという欲求がこみ上げた。
「産院の先生は……無理しなければ、いいって」
蚊の鳴くような声で、ぽつりと呟く。けれど梗一は聞き漏らすことなく、半信半疑の様子で私の髪をそっと撫でながら聞いてくる。
「詩織はどうなんだ? 体は大丈夫でも、心がそういうことを求めていないのなら、無理して俺に合わせる必要はない。今はこうしてきみがそばにいてくれるだけで、十分幸せだよ」
「ありがとう。でも私……」
もちろん、妊娠前に比べたら、性欲的なものは減っていると思う。万が一、お腹の子になにかあったら、という怖さもある。
けれど、梗一が教えてくれたこと……ただ欲を満たすためでなく、愛しい人の肌に触れ、心を分かち合い、魂まで満たされるあの喜びを――すれ違いを乗り越えて再会できた今、もう一度感じたいの。
「私、触れたい。あなたに」
たとえ妊娠中であっても、それが正直な気持ちだった。
「詩織……わかった。ゆっくり、優しくするよ」
梗一も私の気持ちを汲んでくれ、私の手をぎゅっと握ると寝室へといざなった。