熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~

「……ただし、多少順序は無視する。俺には十日間しかないからな。のんびり、手をつなぐところからレクチャーしてる場合じゃないんだ」

「順序? それ、どういう意――ンッ」

話している途中なのに、凶暴なキスで唇をふさがれた。逃げようにも背中側は壁だし、そこに手をつく彼の腕が檻となって、身動きすらできない。

南雲の唇は乱暴に私の唇を啄み、何度も淫らなリップ音を辺りに響かせる。私はその合間に、熱い吐息をこぼすのが精いっぱいだ。

どうして抵抗できないの? 嫌いな男にキスされているのよ?

甘く痺れる頭の中で、冷静なもうひとりの自分が問いかけてくる。

そうよね……。流されている場合じゃない。

引っぱたいてでも抵抗しなきゃ……この男を思いあがらせるだけだわ。

私は力なく垂れ下がっていた右手に力を籠め、思い切り振りかぶった。けれど。

「……やめておけ。平手打ちひとつくらいじゃ、俺は止まらない」

そんな言葉とともにガシッと寸前で手首をつかまれ、南雲の頬にお見舞いしようとした平手打ちは阻まれてしまった。

さらにそのまま手首を壁に縫い付けられ、彼はまたキスを再開させる。



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