熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
……ずっと、私は彼に相応しくないと思っていた。彼は違う世界の住人なんだって、思い込もうとしてた。でも……私たちはこうして同じ場所にいて、抱き合ってる。
離れるつもりなんかない。離れたくない。
ずっとずっと、あなた愛し、そして愛されたい――。
「梗一……。うん、よろこんで」
泣き出しそうな声で私がそう返事をした瞬間、お腹の中でぐにゃりと赤ちゃんが動く感触があった。ちょうどそこに手を当てていた梗一と目を合わせ、互いに微笑み合う。
「きっと俺たちの結婚を喜んでいるんだ」
「……男の子なら、嫉妬しているのかもしれないわ」
「望むところだ。たとえ息子でも、詩織のことは譲らない」
梗一がお腹に向かってそう宣言すると、もう一度、今度はぽこんと内側からお腹を蹴られる衝撃があって。
「……やっぱり怒ってる」
「確実に息子だな、これは」
そんな冗談を言い合ってクスクス笑い合い、幸福すぎる再会の夜は穏やかに更けていった。