熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
「おめでとうございます! 元気な男の子ですよ」
先生と助産師さんに声を掛けられ、放心状態だった私は我に返った。
そしてもうほとんど動かない体のなかで首だけを何とか動かし、タオルにくるまれた小さなか弱い、けれどしっかり生きている命を瞳に映し、安堵と感動の入り混じった息をつく。
「こんにちは……私の赤ちゃん……」
すっかりかすれてしまった声で挨拶してみると、赤ちゃんはまるで返事をするように「おぎゃぁ」と泣き声を上げた。
その瞬間、こみ上げる愛しさでたちまち涙があふれた。
こんなに可愛いのに、こんなに一生懸命に生きているのに。
妊娠に気が付いた時、すぐに喜んであげられなくてごめんね。
一時はあなたから、父親を奪おうとして、ごめんね。
私が揺れていた時、きっとあなたも不安だったよね。
なのに、こうして無事、元気な姿を私たちに見せてくれて……本当に本当にありがとう。
私はあなたのおかげで頑張れたの。
大好きよ。私たちの可愛い天使……。