熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
「お疲れ様、詩織。……ありがとう。元気な子を産んでくれて」
傍らで見守っていた梗一も、わが子との初対面に感無量と言った様子で、鼻と目を真っ赤にしていた。
「ありがとうは、私の方……。あなたのおかげでこの子に会えたんだもの……」
互いに感謝を伝えあうと、梗一は力をなくした私の手をぎゅっと握ってくれた。
「詩織……この先も必ず、俺がきみと子どもを守るから」
「……うん。頼りにしてる」
これまでずっと一人で生きてきて、そのままひとりで死にゆくのだろうとばかり思っていた。
でもきっと、私はもう一人には戻れない。かけがえのない愛しい存在が、ふたりもいるんだもの。
これからは家族三人、どんな困難があっても、手を取り合ってしっかり歩いていけますように――。
疲れた体を横たえたまま目を閉じ、私はそんな未来に思いを馳せていた。