熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
「ん、ふぁ……っ」
先ほどの小さな反抗は逆に彼を焚きつけてしまったらしく、濡れた舌が唇をこじ開けて侵入してくる。そして私の舌を探し当てると、深く絡ませては官能的に唾液を啜った。
すっかり骨抜きにされた私は、とうとう腰が砕けて立っていられなくなり、彼のシャツにしがみつく。
そのとき、無意識にとろけるような眼差しを南雲に送ってしまい、薄くまぶたを開いていた彼にそれを見られてしまった。
チュッと音を立てて濡れた唇を離した南雲は、満足げな微笑みを浮かべて言う。
「どうした。キスだけでいきそうになったか?」
下品な冗談にかぁっと頬が熱くなり、私は唇を噛んでうつむくしかなかった。
悔しい……。結局、彼の思うがままにされてしまった。
長年〝恋愛なんていらない〟って思ってきたはずなのに、一人の男と会ってその日のうちに、こんなふしだらなキスを交わしてしまうなんて……自分が情けない。