熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~

「あなたと一緒にいると、自分のこと嫌いになりそう」

理性を取り戻し、すっかりしょげてしまった私は、ぼそりと呟いた。

すると南雲はうつむく私の髪にそっと触れて、優しく撫でながら言った。

「今まで知らなかった女の部分を俺に引き出されて、戸惑っているだけだろ。ずっとストイックに絵を描き続けるばかりだったから。でも、俺の目にはとても魅力的に映ったよ。キスに酔いしれる詩織の姿」

「……うれしくないわよ。そんなこと褒められたって」

私はツンとした態度でそう言ったけれど、彼の甘い視線や言葉が神経毒のように全身に回り、うまく呼吸はできないし、抑えきれないほど胸は高鳴っていた。

「さて、これからどうする? 俺はもちろん一緒に食事をしたいけど、きみが今のキスで気分を害したなら、アトリエまで送るよ」

「えっ?」

南雲が急に冷めたような態度で言うので、意表を突かれた私は固まってしまう。

いや……なにをそんなに驚いているのよ。この強引男が〝帰してくれる〟と言っているのよ? 

気が変わる前に、とっとと提案に乗るべきよ。



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