熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
私は編み込み素材でできたソファに腰かけ、窓際で海を眺める南雲の背中に問いかける。
「ひとりでバカンスを過ごすにはちょっと広すぎない?」
「それはそうだろ、一人で過ごすつもりで来てないんだから」
彼は振り返ってそう言うと、窓から離れてこちらに歩み寄り、ソファのすぐ隣に腰かけた。その瞬間、私は全身に緊張が走って硬直し、彼の方を向けなくなってしまう。
そんな私に気づいているはずなのに、南雲は構わず私の肩を抱いた。
せめて袖のあるワンピースだったら、素肌に触れられずに済んだのに……着ているのはあいにく肩の部分に細い紐があるだけのデザイン。
触れている部分から、南雲の手の温度、男の人らしく少し硬い手のひらの感触までもがダイレクトに伝わってきて、心拍数が着実に速くなっていく。
「ね、ねえ。そういえば、見せたいものっていうのはどこにあるの?」
このまま甘い雰囲気に突入するには、まだ心の準備が整っていない。
私はなんとかその時間を先延ばしにしようと、緊張を隠して尋ねた。