熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
眉をしかめ、上目遣いに彼を睨んだら、南雲は楽しそうにクスクスと笑った。
そして、突然顔を近づけたかと思うと耳元に唇を寄せ、たっぷり吐息を混じらせた掠れ声でささやいた。
「耳が敏感だって、ばれちゃったな」
その言葉にさらなる羞恥を煽られ、私は必死になって言い返す。
「なっ……! 今のは、くすぐったかっただけで!」
「本当か? じゃあもう少し、攻めてみようか」
南雲の言葉に不穏な雰囲気を感じ取り、逃げなきゃ、と思ったけどすでに時は遅し。
彼はいつの間にか私の腰にがっちり腕を回していて、密着したまま耳にキスをしてきた。
「ひゃぁ……っ」
思わず肌が粟立ち、甲高い悲鳴が出てしまう。
これは、くすぐったい……のよね? だってそれ以外、何があるっていうのよ!
頭の中で自分に言い聞かせていると、今度は耳のふちに軽く歯を立てられ、また違う感覚がぞくぞくと背筋を走った。
なんなのよ、もう……体が勝手に熱くなる……。
もうやめて、と懇願するように潤んだ瞳で南雲を見つめると、目が合った彼は苦笑してゆっくり体を離した。