熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
梗一はうれしそうに目元を緩め、お返しのように再び私の名を口にした。
「詩織。……好きだよ」
ストレートに愛情を示してくる彼に、ドキンと胸が跳ねる。
その現象は紛れもなく恋愛のときめきなのだと、そろそろ認めざるを得なかった。
あなたなんてキライだと、もう彼を突き放すことはできない。
「認めたくないけれど……私もたぶん、あなたを好きになる」
私は彼を見つめて、心に芽吹きはじめた感情をゆっくり言葉にした。
「たぶん? 詩織は往生際が悪いな。きみは絶対に俺に惚れるよ。というか、俺に言わせればすでに惚れてると思うんだが」
こちらが勇気を奮い立たせてやっと素直な思いを伝えたというのに、彼は相変わらずの傲岸不遜な態度。思わず腹が立って、かみつくような声を上げてしまう。
「ちょっと、勝手に決めつけないで!」
「ま、いいさ。今日は移動とこの島の暑さとで俺も疲れてる。詩織のすべてをもらうのは、明日のお楽しみに取っておくよ。俺はシャワーを浴びてくる。この部屋のものは自由に使っていいからくつろいでいて」