熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
スッと立ち上がった彼は、着替えを手にリビングを出て行ってしまった。
私はようやく緊張から解放され、ため息をつきながらソファに深く背中をもたれさせた。
それにしても、彼ときたらまた勝手なことを言っていたような。
「明日のお楽しみ、って……私の覚悟が一日で決まるとでも?」
彼が部屋にいないのをいいことに、声に出してぶつぶつ不平を漏らす。
今夜はここに泊まるしかないけれど、明日は何か予定を入れなきゃ間が持たない。
でも私の予定なんて、絵を描く以外には……。
そんなことを考えているうちに、疲労が押し寄せてまぶたが重くなってきた。
絶対に、今日一日彼に振り回されたせいだ。もうダメ。ベッドに移動する気力もない……。
私は気を失うように、そのままソファで眠り込んでしまった。