熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
「もしかして忘れたのか? 詩織。あんなに激しく俺を求めておいて」
「えっ……ちょっと待って。うそ、私、そんな」
予想通りに慌てふためく詩織が可愛くて、くすくす笑ってから俺は謝った。
「ごめん、冗談だよ。ゆうべは何もない」
「もう……! びっくりさせないでよ! 私もお酒を飲んでいたし、てっきり記憶にないだけなのかと……」
詩織が安堵して深い息を吐く。俺は椅子から立ち上がって、詩織の体をまたぐようにして膝からベッドに乗り、吐息のかかる距離まで顔を近づけた。
「酔った勢いなんかじゃなくて……初めての夜はちゃんと、記憶に残るものにしような」
「きゅ、急になに言って……」
頬を赤く染め、困ったように眉尻を下げる彼女が可愛くて、俺は今日も朝から全力で詩織に愛情表現しようと決意する。
「急じゃないだろ。俺は昨日からずっときみを真剣に口説いている。もちろん今日だってそうするつもりだよ。……まずはとりあえず、目覚めのキスをしよう」
「待っ……!」
声を上げようとしたじゃじゃ馬な唇を、俺は優しく啄んだ。角度を変えながら何度も唇を押し付け、その柔らかな感触を何度も楽しんでいたら、観念した詩織が体の力を抜くのが分かった。