熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
「今日は素直だな、詩織」
「う、うるさいわね……その方が早く終わるかと思っただけよ!」
どうやら言葉では素直になれないらしい。
でも、そんなあからさまにわかる嘘をついてツンとした態度を取る詩織が、聞き分けのない子どものようで可愛らしく、笑みがこぼれてしまう。
「……何笑ってるのよ」
大きな瞳にキッと睨まれるのもなんてことない。
おそらく、詩織が俺を睨むのは、俺に溺れるのを恐れるが故。
昨日一日彼女を見ていて、そのことになんとなく気がついたから。
「別になんでもないよ。……ほら、続きをするから目を閉じて」
言いながら、ゆっくり詩織の体をベッドに倒し、俺は甘いキスを再開させた。
舌で彼女の唇を割り、濡れた口内の隅々までを味わっていると、詩織の両手が、おずおずと俺の背中に回されるのを感じて、朝からたまらない気持ちになる。
このまま彼女の服を引きはがして、強く体に刻みつけたい。俺はこんなにも、きみを愛しているって。
……だけど、まだバカンスは二日目だ。彼女が心から俺を欲しがるそのときを、もう少し待ってみたい。
俺はなんとか欲情を堪えつつ、けれど彼女の気持ちを早く自分のものにしたくて、長いことキスの水音を部屋に響かせていた。