熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
「忘れた……つもりだったのに」
詩織が苦し気に眉根を寄せ、俺に訴える。
「誰かひとりのせいで……自分の胸がこんなに熱くなること」
潤んだ瞳に切なく見つめられ、俺はたまらずシーツの上の彼女の手をぎゅっと握って聞き返す。
「誰かって……誰? ちゃんと言ってくれ」
「そんなの……わかるでしょ?」
恥ずかしそうな詩織に睨まれるけど、俺はふっと微笑んでまたお願いする。
「わかるけど、言わせたいんだよ。頼むから、詩織」
詩織は一度長い睫毛を伏せ、それから覚悟のにじんだ強い眼差しで俺をまっすぐに見つめた。
「全部、あなたのせいよ、梗一。あなたが私の心に住みついて、出ていかないの」
ああ……俺は、この日が来るのを何年待っただろう。幸福で胸が潰れそうだ。
「なら、二度と出ていくもんか。……好きだよ、詩織。もっと俺を知って、俺を愛して?」
「梗一……」
甘い視線が絡み、俺たちは引きあうように唇を重ねた。貪るように、角度を変えて何度もお互いの唇を求める。
隙間から舌を割り入れれば詩織も積極的に自分の舌を絡めてきて、ベッドの上では何度も淫らなリップ音が弾けた。