熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
「ちょっと、見ないで……っ」
慌てて回れ右をして、梗一に背を向ける。
……は、はやく着替えないと。
プールから上がるために歩みを進めるけれど、水中でモタモタしている間に、後ろからガシッと梗一に腕をつかまれてしまう。
そのまま強い力で引き寄せられ、無理やり振り向かされた。彼の執拗な視線が、体の上を行き来するのが分かった。
「梗一……あの、私、着替えたくて」
「そんなの後でいいだろ。……詩織。今、きみが欲しい」
ストレートな言葉で求められ、頬が羞恥で火照りはじめる。
「い、今って、まだ朝だし、ここは外で、プールで」
「関係ない。煽ったのは詩織だ。……嫉妬で狂わせたのもな」
梗一は体の芯を疼かせる低音で告げるなり、私の顔を両手でつかんで固定し、荒々しいキスを仕掛けてきた。
私はどうしていいのかわからないまま必死でキスに応え、次第にキスでは足りなくなった彼の手が仕掛ける悪戯に、甘く溶かされていった。
やがて水中で重なり合ったとき、梗一は私たちの間に隙間があるのを一切許せないというように、ずっと体を密着させて水面を揺らしていた。
そんな心細そうな彼に愛しさと母性をくすぐられ、私は〝大丈夫だよ〟と伝えるように、何度も彼にキスをするのだった。