熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
洗面所でタオルを濡らして戻ってきた私は、それを彼の額に乗せながら尋ねた。
「お言葉に甘えて休ませてもらおうかな。隣、いい?」
「俺は構わないが……詩織はうつったら困るだろう」
戸惑う梗一を無視して、私は布団を捲ってベッドに入ると彼にピタリと寄り添った。
「わ。熱い」
驚いていると、梗一がこちらに寝返りを打って、熱い吐息をこぼしながら話す。
「……なのに寒気が止まらないんだから、やっぱりおかしいよな。でも、詩織がきてくれたからあたたかい」
「うん。早くよくなるといいわね」
布団の中で彼の手を取り、優しく握る。梗一は困ったように微笑んで、もどかしそうに言った。
「キスくらいしたいが……今夜は遠慮しなきゃな」
どうやらまだ私への感染を気にしているらしい。一緒のベッドで寝てしまう時点で、もうそんなの無意味だと思うんだけど。
「……いいわよ別に。うつったらそのときはそのときよ」
「でも」
「もう、変なところで真面目なんだから……」
私は苦笑いして、自分からそっと彼の唇へキスをした。不意を突かれて目を丸くする梗一に、私はしたり顔を作ってみせる。
「いつも、私が何度嫌だって言ってもやめてくれないから、そのお返しよ」