熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
すると彼は目を閉じて大きく息をつき、悔し気にこぼした。
「ああもう……これでもかというくらいに詩織を抱きたい気分なのに、なんで体が思うように動かないんだ。」
「日頃の行いが悪いんじゃないかしら」
クスッと笑って意地悪を言えば、ますます彼は悔しそうだった。
「……覚えてろよ? 治ったら、ただじゃおかないからな」
「はいはい。ほら、喋っていると体力を消耗するわ。早く眠って?」
「仕方ないな……。おやすみ、詩織」
「おやすみなさい、梗一」
最後まで不服そうだった彼だけど、目を閉じるとあっという間に寝息を立て始めた。きっと高熱でつらいのだろう。
さっきは弱々しい彼を面白がるような言動をしてしまったけれど、早く元気になってほしい。
そして、いつものように……私を愛してほしい。
「あと何回、あなたと同じベッドで眠れるのかな……」
無意識に頭に浮かんだ疑問が、口をついて出た。同時に、胸にずきりと鈍い痛みが走る。