熱情バカンス~御曹司の赤ちゃんを身ごもりました~
……彼がいずれ日本に帰るのは、最初から決まっていたことだ。
でも、そのとき私はどうしたらいい?
私には、この島で描きたいものがまだたくさんある。梗一は、そんな私をきっと応援するだろう。必然的に、離ればなれだ。
バカンスという限られた時間を意識しているせいか、今は抱き合ってばかりいる私たちが、そんな状態で恋人を続けられるのかな……。
あと数日でやってくる避けられない未来が、私の胸をざわつかせる。
けれど、もしも彼に直接この話をしたら、何の障害もなく愛し合っている今の私たちにまで影響してしまいそうで、怖くなる。
できることなら、一分一秒でも長く梗一に愛され、女としての幸せに浸っていたい。
愚かな感情かもしれないけれど、今の私にはそれが手放せないから……今は、未来のことを考えるのはよそう。
私は胸に広がりつつある不安をごまかすように、ベッドの中で寄り添う熱い体にぎゅっと腕を回し、眠りにつくのだった。