ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
第一章 別れのとき
それは月のない夜のことだった。
眠る前に何気なく眺めた窓の外、遠くでちらちらとオレンジの光がいくつも揺れている。
夜闇の中、揺れる光はまるで蛍の群れのようだった。
「何かしら? 段々大きくなっているみたい……」
初めて見る光景に眠気も忘れて見入っていると、コンコンコンと忙しなく扉を叩く音が部屋に響いた。
こんな時間に誰だろうと、首を傾げながら返事をする。
「どうぞ」
扉を開け部屋に入って来たのは、レオンだった。
「こんな時間にすまない」
私は戸惑いながら彼に近付く。
「それはいいんだけど、何かあったの?」
大好きなレオンが訪ねて来てくれるのは嬉しいけれど、彼らしくないと感じた。
私たちは先日お互いの気持ちを確かめ合い恋人同士になった。でもまだ正式に婚約している訳ではないから大っぴらに夜を一緒に過ごすのはよくないのだ。
私よりも何事も弁えている彼が、まだ使用人の目もある時間に突然やって来るのは、なにか特別な事情が有るからなんだろう。
眠る前に何気なく眺めた窓の外、遠くでちらちらとオレンジの光がいくつも揺れている。
夜闇の中、揺れる光はまるで蛍の群れのようだった。
「何かしら? 段々大きくなっているみたい……」
初めて見る光景に眠気も忘れて見入っていると、コンコンコンと忙しなく扉を叩く音が部屋に響いた。
こんな時間に誰だろうと、首を傾げながら返事をする。
「どうぞ」
扉を開け部屋に入って来たのは、レオンだった。
「こんな時間にすまない」
私は戸惑いながら彼に近付く。
「それはいいんだけど、何かあったの?」
大好きなレオンが訪ねて来てくれるのは嬉しいけれど、彼らしくないと感じた。
私たちは先日お互いの気持ちを確かめ合い恋人同士になった。でもまだ正式に婚約している訳ではないから大っぴらに夜を一緒に過ごすのはよくないのだ。
私よりも何事も弁えている彼が、まだ使用人の目もある時間に突然やって来るのは、なにか特別な事情が有るからなんだろう。