ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「どういう意味でしょうか?」

「この病院へは子供の為に来たそうね。治療は終わったのかしら?」

「いえ、まだ検査中ですので」

なぜ突然話が変わったのだろう。

怪訝に思っていた私は、オリーヴィア様の次の言葉で息を呑んだ。

「それは違うわ。検査はもうとっくに終わっているはずよ。レオン様の命令であなたには検査中と偽っているのよ」

「な、なぜですか?」

「子供は病気ではないからよ。でもそれを知ったらあなたは大騒ぎするでしょう? だから知らせなかったのよ」

「私……騒いだりしません、だって病気でないならそれは良いことではないですか。でもなぜオリーヴィア様がご存知なんですか?」

「私にはあなたと違って情報を得る手段がいくつもあるからです。手足となって動く人間が何人もいるのよ。何も知らない哀れなあなたに教えてあげるわ。子供の具合が悪かったのは軽い毒を飲まされていたからよ。レオン様は早々にその報告を受けたようだけれどあなたには黙っているように命じたそうね」

オリーヴィア様の話はとても信じられなかった。

けれど同時に真実でもあると感じた。

この病院に来てからの覚えていたいくつかの違和感。オリーヴィア様の話が真ならば辻褄が合ってくるのだ。

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