ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「どういうことか詳しく説明を」

「あ、はい。いつも治療の合間に休憩を取っています。中庭でおやつを食べるんですがほんの少し目を離した間に消えてしまって、今職員総出で探しているのですが」

「なぜ目を離したのですか?」

「それは急に声をかけられて、初めて見る方だったのですが、身なりからかなり身分の高いと思われるとても綺麗な女性だったもので……」

目の前が真っ暗になったような気がした。

それはきっとオリーヴィア様だ。あの人が何らかの手を使って連れ去ってしまったんだ。

私がいつまでも身を退く覚悟をしなかったから。

冷静さなんて保てなくて、私は身を翻してその場を飛び出した。

早くリラを助けにいかなくちゃ。

それだけしか考えられない。

「イリス様!」

カイルの呼ぶ声が聞こえたけれど、立ち止まることなく私は病院を飛び出した。

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