ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
第八章 心も体も
リラと話をしていると、思ったよりも早くレオンが戻って来た。

「レオン、もういいの?」

「ああ、帰ろう」

レオンは少し疲れたように見えるけれど、私とリラに対する眼差しは優しい。

馬車の扉が閉まってから少ししすると、ガタリと音を立てて走り出した。



リラは馬車の中では元気いっぱいだったけれど、やはり疲れてしまったのか、部屋に戻るとことりと糸が切れたように眠ってしまった。

レオンがベッドに運び、私が着替えをさせる。

その間も目を覚ます様子はなくすやすやと眠っていた。

「よっぽど疲れたみたい」

柔らかな髪を撫でながら私が囁くと、レオンも静かに頷いた。

「ああ、慣れない環境で緊張もしただろう」

「うん、また夜中に起きるかもしれないね」

いつもは一度寝ると朝まで目を覚まさないのだけど、日中興奮するようなことがあると、夜中に泣きながら目を覚ますことがある。

しばらく様子を見守ってから、リラの寝室を出て隣の居間として使っている部屋に移動した。

長距離の移動で疲れているであろうレオンの為に温かいお茶を用意する。

「オリーヴィア様はどうなったの?」

コトンとテーブルの上にカップを置きながら問う。

「ありがとう……オリーヴィアは帝都に送り返したよ」

「それで納得されたの?」

あの姫君は、その身分に相応しく気位が高く見えたけれど。

レオンは眉間にシワを寄せた。

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