ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
「抵抗されたが、聞き入れるつもりはない」

その様子から無理やり帝都に帰すのだと分かり心配になった。

「大丈夫なの? オリーヴィア様のお父様である公爵を怒らせると困ることになるのでしょう?」

「今回はオリーヴィアが仕掛けて来たことでこちらに非はない。皇帝の娘を誘拐し、妻にと臨んでいる娘を傷つけたんだ。許せることじゃないだろう?」

「リラを巻き込んだことは私も許せないけど、でもレオンが危なくなったりはしないの? それが心配で……」

レオンとリラから離れないと決めたけれど、自分の力不足が悲しくなる。

「確かに公爵の権力は強いが、譲れないこともある。俺は傀儡の皇帝になるつもりはないからな。心配しなくていい、イリスとリラに手出しはさせない」

「うん……でもレオン自身も大切にしてね。これからは三人で幸せに暮らしていきたいから」
懇願するとレオンは優しい顔で微笑んだ。

「ああ」

「どうかしたの? 急に笑って」

「嬉しくて。イリスが戻って来てくれたし、リラに父親として受けいれて貰えた」

レオンは本当に幸せそうに見えた。

その様子を見ていると私も温かな気持ちになる。それから罪悪感。

四年前はレオンと離れることこそが正しいのだと信じて疑わなかった。

けれどリラと触れ合い幸せそうな顔をするレオンを見ていると、それは間違っていたのではないかと思うようになった。

父と娘を引き離してしまったことが罪深く思えて来るのだ。いや、真実罪深いことをしてしまったのだ。

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