ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
両親とリラと、途中からレオンも合流して離れていた時間を埋めるように和やかに過ごした後、私達はカサンドランの病院を出て、ラヴァンディエ帝都へと旅立った。

レオンはお忍びで来ているので、旅の一行は皇帝の行列とは思えない程質素なもの。

私はその方が気楽だったし途中で休憩も取りやすいので助かった。

リラは馬車の旅がすっかり気に行ったようで窓の外の風景を興味深そうに眺めている。

ゆっくりとした進みで五日かけて帝都に到着した。

私はラヴァンディエ帝国民だけれど、帝都を見るのは初めてで、その壮大さにただただ圧倒された。

大河に添う形の都は、巨大城壁に囲まれ外からは中の様子を伺うことは出来なかった。

それでも門の遥か向こうに巨大な宮殿がそびえているのが見える。

「あれが宮殿? すごい……」

思わずつぶやいた私の隣でリラも目を丸くしている。

「おしろ? おっきい」

その様子を見たレオンがくすりと笑いながら言う。

「リラは城を見るのは初めてか?」

「うん。あそこでなにするの?」

「そうだな……仕事をしたり、ダンスパーティーをしたりいろいろだ。リラの部屋もあの城の中にある」

「えっ リラのおへやも?」

リラの頬がぱあっと紅潮する。

「すごい! リラのおうちは、おしろなんだ。あ、じゃあママのおへやは?」

「ママの部屋も城の中だ」

「レオンも?」

「ああ。ママの部屋の隣だ」

レオンは意味ありげな視線を私に送る。

ドキリとして目を逸らした。

部屋が隣って……もしかして寝室が繋がっていたりするのかな?

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