ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
レオンはリラに帝都のことをいろいろ教えてあげていた。

けれど城壁を通ると窓のカーテンを閉め外から見えないようにした。

「えーしめちゃうの?」

リラはちょっと不満顔。だけど私は宮殿に近付いたことで、緊張感に襲われた。

宮殿にはレオンの沢山の人がいる。

その人たちは私とリラの存在をどう思っているのだろう。

特にソファア様と私を妃に娶るのを反対しているという家臣の反応が不安だった。

「イリス」

私の落ち着かない様子を見て、レオンが声をかけて来た。

視線を上げると、彼は優しく微んだ。

「大丈夫だ。堂々としていたらいい。」

勇気づけられ私は安心して頷いた。

「うん……ありがとう」

そうだ。私は私らしく自信を持とう。

馬車が停まると直ぐに外側から扉が開いた。

レオンはリラを抱き馬車から降りると、片手を私に差し出した。

彼の手を掴んで降りると、馬車の前には大勢の家臣が立ち並び皇帝の帰りを出迎えていた。

「お帰りなさいませ」

皆が一斉に頭を下げる。

その光景にリラがぱちぱちと目を瞬く。

こんな沢山の人も、巨大な城も何もかも初めて見るのだから無理もない。

私だって緊張で足が震えてしまいそうなのだもの。

レオンに手を握って貰っていなければ、まとも歩けなかったかもしれない。

彼の手が私を強くする。この人に選ばれたのだと自信を持っていいんだと思い出させてくれる。

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