ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
レオンに促され宮殿内の豪華な廊下を進んでいく。廊下にも天窓からさんさんと光が降り注ぎ、開放的な雰囲気になっている。

「ママ、おひさまのひかりがきれー」

リラは窓から降り注ぐ光に目を細めている。柔らかな日差しの中でリラの銀の髪が淡く輝く。彼女こそとても綺麗だと思う。

しばらく歩くとレオンは一つの部屋の前で立ち止まった。

両開きの白い扉。金で花の模様が描かれ、ノブは柔らかな金色だ。

「すごい! かわいいドア」

リラが興奮気味に言う。

「ここがリラの部屋だ」

レオンがそう言いながら扉を開く。

部屋の中も、明るく光が溢れていた。

広々した居間に続きの寝室。どちらも白とピンクの家具と調度品で揃えられている。

大人が三人寝られそうな大きなベッドの上には、可愛いぬいぐるみが並べてあった。

小さな女の子が夢見る部屋そのもので。リラは興奮して部屋の中を走り回る。

「かわいー! ベッドもフカフカだよ」

スプリングの利いたベッドでぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねている。

レオンはそんなリラを見て嬉しそうにしている。

私は彼に寄り添って声をかけた。

「レオンありがとう、リラも凄く喜んでる」

「ああ、気に入ってくれたようで良かった」

「気に入るよ。凄く可愛い部屋だもの……家具とかは誰が選んだの?」

こんなに女の子らしい部屋にしたのは、レオンではないと思う。

彼は昔から何事にも機能性を求める方で、装飾品になど興味が無い人だったから。

レオンは少し躊躇ってから答えた。

「母上だ」

「え? ソフィア様が?」

私は驚き改めて部屋を見回した。

レースのカーテンに薄桃色のラグ。柔らかな赤色のソファー。

他の家具は白で統一されている。使う人の為に心を込めて整えてくれたのだと分かる部屋。

ソフィア様は、レオンとオリーヴィア様の結婚を望んでいたのだから、私とリラに対して良い印象は持っていないのは覚悟していた。

だけど、この部屋を見る限りリラに対しては優しい気持ちを持ってくれているように感じる。

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